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混迷の漂流国家ニッポン。政治の理想を追求すべく"新党ひとり"をバーチャル立党。それが『未来党(The Next Generation's Party)』。

いま求められる日本の技術外交戦略 [政治]

つい先日、サッカーW杯南アフリカ大会は、スペインの初優勝、そしてドイツの占いタコ、パウル君を一躍世界の有名人?にするなど、熱狂のうちに閉幕したばかりですが、次回開催は2014年のブラジル大会です。

私は、ブラジルでもうひとつ着目していることがありました。
それは、日本も参戦表明している「ブラジル高速鉄道計画」です。

関連サイト
新幹線で勝負 ブラジル高速鉄道で受注合戦

ブラジル高速鉄道セミナー開催

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リオデジャネイロからサンパウロ経由、カンピーナスまで旅客専用線を新設。約500kmを最高時速250~300km/hで走行し、2時間半以内で結ぶというもので、総事業費は2兆円前後とも言われる巨大プロジェクトです。2014年のワールドカップ開催に合わせ、サンパウロ~カンピーナス間の100kmの先行開業を目指しています。

日本の鉄道技術は素晴らしいものがあると思います。単にテクノロジーだけではなく、遅延が極めて少ない緻密な運行、高い安全性など日本人の精神が体現されているといっても決して過言ではありません。私も以前1年半ほど鉄道業界で仕事をしたことがあるので、とくに安全性に対するストイックとも言えるチェック体制・意識に直面し、感心することしきりでした。

たとえば、新幹線の新型車両の電気制御盤などを製作している現場でお手伝いしたことがありますが、細い電線を接続するにも、それを圧着する圧着機は別の場所で精密な調整を受け、検査で認められたものしか使用できないと言われ「うわ、厳しい」と感じたものです。

また、JR中央線の現行車両の製作時に、同様に電子機器の取り付け作業を行った際にも、単純な作業であっても作業員同士の確認、メーカーの確認、そしてJR担当者の確認、と繰り返しの確認が行われます。その後も運行試験など実際に営業運転するまでには、何度も確認が繰り返されるということを知り、気が遠くなりそうになったのを覚えています。

ちなみに、数年前渋谷に緑色の旧型電車が新たなシンボルとして登場しましたが、この車両、実は世に出る前に私(と同僚の2人で)が汚れを落とすという作業をしたものです。なかなか頑固な汚れで途方に暮れましたけど・・・(笑)。どこかに展示するとは聞いていましたが、まさか渋谷だとは思いませんでした。
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話が横道に逸れましたが、「ブラジル高速鉄道」への参入計画は静かに着実に進行していたようで、下記の記事が出ていました。

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ブラジル高速鉄道入札公示 日本は三井物産連合が応札 12月中旬に事業者決定へ

ブラジル政府は13日、リオデジャネイロ州とサンパウロ州を結ぶ同国初の高速鉄道建設の入札手続きを公示、12月16日に事業者を決定すると発表した。民間委託による開発・運営事業としては同国最大級のインフラ整備プロジェクトという。

 日本からは三井物産を幹事役とする企業連合が新幹線システムで応札する意向とされ、2007年開業の台湾に続く、米州大陸初の新幹線輸出を目指す。高速鉄道技術で定評がある欧州勢のほか、韓国や中国なども積極的で、激しい争いが予想される。

 リオからサンパウロ経由で工業都市カンピナスまで約510キロを2時間弱で結び、建設費は331億レアル(約1兆7千億円)。11月29日まで入札を受け付ける。来年3月に契約調印し、工事期間は最長6年を想定している。

7月14日 時事通信
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ブラジルといえば、海外では最大規模の約150万人の日系人が住んでおり、2008年で日系移民100周年を迎えるなど、日本ととても歴史的に関わりが深く、親日派の国としても知られています。

ブラジルが親日派ということについては、実は日本の地デジ政策と密接に関わっているということから窺い知ることができます。
現在、世界の地上デジタル放送の規格には、ヨーロッパ方式、アメリカ方式、日本方式(ISDB-T)の 3 つの方式があります。その三者が世界の地デジ化の流れの中で覇権を争っている状況です。

7月6日時点で、中南米ではブラジルやペルーなどの9カ国。アジアのフィリピンを加えれば、海外10カ国で日本方式の地デジが採用されています。他方式に比べて導入コストが安く、ワンセグなどのモバイル通信ができる点がセールスポイントのようです。ちなみに、ブラジルは海外で日本方式を一番早く採用決定(2006年)した国でもあります。

そして、なんと日本のアフリカ地域へのセールスをブラジルの大統領が後押しするなど、かなり日本寄りのスタンスを取っています。いろいろ政治的な思惑は絡んでいるのかも知れませんが、日本人としては単純に嬉しい限りです。

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アフリカ17カ国に普及促す 地デジ規格でブラジル
2010.6.27 10:36

 
地上デジタル放送の規格をめぐり、ブラジルのルラ大統領は7月上旬のアフリカ歴訪に際し、南アフリカやタンザニアなど17カ国に日本方式の採用を働き掛ける意向を決めた。国営ブラジル通信が大統領顧問の話として26日報じた。

  大統領顧問によると、アフリカ南部の経済的統合を目指す
南部アフリカ開発共同体(SADC)=15カ国で構成=の技術担当者は日本方式の採用に前向きといい「欧州方式は競争力を失いつつあるのを欧州自身が分かっている」などと述べた。

  ブラジルは2006年に日本方式の採用を決定。中南米での普及を進め、これまでに中南米諸国とフィリピンの計9カ国が日本方式を採用した。(共同)

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ブラジルは最近話題のBRICs(ブリックス)4ケ国のうちの一国です。
BRICs(ブリックス)とは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4カ国の頭文字を並べたもので、台頭する新興大国を意味する造語で経済ニュースなどで頻繁に登場します。

今までの経緯を考えれば、ブラジルの高速鉄道も日本に有利なような気もするのですが、まだまだ油断はできない状態でしょう。恐らく鉄道システムだけでなく、経済的な支援なども含めた形での交渉がなされるのかも知れません。
確かに日本自体も財政的には厳しい状態ですが、ここは友好関係をより強化する目的で投資するのもひとつの考え方ではないかと思うのです。

最近、中国の軍事的脅威が表面化してきております。
能ある鷹が爪を隠さなくなってきたことに底しれない怖さを感じてしまいます。

鄧小平氏の一国二制度政策によって、経済的にめざましく発展してきているため、まるで自由主義国家と錯覚しがちですが、中国は中国共産党による一党独裁が続く、れっきとした社会主義国家であり、1989年度以降21年間連続で軍事支出を20%以上拡大させ続けている軍事大国です。
そして、その中国共産党の軍事部門である中国人民解放軍は、台湾、日本を含むアジア・太平洋地域の覇権を明確に国家戦略として持っています。

このような中で、これから日本が取るべきスタンスはいったいどのようなものになるのでしょうか。
当然、日米同盟は堅持しなくてはならず、これが大前提であることは今後も変わることはないでしょう。アメリカが日米同盟を破棄し、米中同盟というG2体制へ舵をきるという最悪のシナリオを回避するべく上手に立ちまわって頂きたいものです。

さらに、同じく中国の軍事的脅威に晒され、かつ親日的なマレーシアやインドネシア、フィリピンなどの東南アジア諸国、そしてBRICsの一角であるインド、ロシアとも友好関係を築き、中国包囲網を造りたいところです。

このようなアジア諸国、インド、ロシアなど中国周辺の国々を日本の親派にし、中国包囲網を形成する手段を、兵法三十六計による関門捉賊(かんもんそくぞく)とすれば、アメリカやカナダ、ブラジルなどの南米諸国といったアジアからは距離のある国々と友好関係を強化する、遠交近攻(えんこうきんこう)的な外交手段の二重路線による多元外交を展開して頂くことを望みます。

その際のお付き合いのスタイルとしては、経済援助や友好的な貿易関係も当然あるかと思いますが、日本は基本的に他国と比べて資源の少ない国ですから、前述した鉄道技術やIT技術などの先進テクノロジーを供与するという、技術外交戦略(Technology Diplomacy Strategy)が日本の進むべき道であると思っています。

要するに、「うちとお付き合いすると、何かと重宝しますよ」ということを積極的にアピールしてください、ということです。
この根底には、日本が第二次世界大戦に踏み込む要因のひとつとなった「ABCD包囲網」という轍を踏まないようにという考えがあります。

日本が多元外交で自国だけでなく、他国の発展も促しつつ、技術外交戦略(Technology Diplomacy Strategy)を柱として、平和裡に中国という最後の社会主義大国を自由主義国家の仲間入りをさせるべく、教導していくというのが私が現時点で理想として思い描いている国家戦略です。


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