混迷の漂流国家ニッポン。政治の理想を追求すべく"新党ひとり"をバーチャル立党。それが『未来党(The Next Generation's Party)』。
民主党=不幸実現党 [政治]
少し前のことになりますが、テレビのニュース等で、菅直人首相が街頭演説で消税を増税しても、収入の低い人には還付する考えを持っている旨の街頭演説をしているのを見て、思わずテレビにツッこんでしまいました。
少し前の発言なので、もう既に「言い訳」をして火消ししているかも知れませんが、投票日直前の日を迎え、小倉智昭さんではありませんが、「このままじゃ終われない!」という気持ちがまだメラメラとありますので、あえてこの菅直人の消費税還付論発言についてコメントしておきたいと思います。
この還付する収入の額が演説のたびにブレている、と指摘する向きもありますが、私はこの発言の問題点、論点はそんなことではないと考えています。
私はこの発言には大きく2つの問題点があると思います。
一点目の問題点ですが、まず消費税とは何であるかという論点です。
収入に応じて税率が上下する所得税や住民税とは異なり、どのような立場の人からも広く浅く徴税する、ということが消費税の立脚点であると私は認識しております。言わば税の下の平等(笑)と表現しても差し支えないだろうと思います。
然るに、その平等税に対して、所得により差を設けるということは、既に消費税の前提を自ら破壊していることに他なりません。
菅直人という人は市民運動家出身だけあり、本当に「弱者救済」とか「庶民の味方」という言葉がお好きな方なのだな、と改めて感じました。
民主主義においては、富める者も貧しい者であっても、投票できる票は等しく一票です。
そして、現実的には富裕層よりそれ以外の層が圧倒的に多数を占めているのが現代社会の姿です。私はそれ自体が悪いとは言うつもりはありません。
しかし、その構図を利用して、アメをぶら下げることで人の心を弄ぶのは本当にやめて欲しい。
こうした発言から、彼の本音は庶民を見下していて、単なる票田としか見ていないということが透けて見えます。こうした発言をされるということは、国民はバラマキに弱いバカの集まりだと愚弄されているということなのです。
単なる人気取りのパフォーマンスに過ぎないという点において、プロレスラーのマイクパフォーマンスと何ら変わらないと断じます。
二点目の問題点は、
こうした収入制限を設けることで、国民の働く意欲を低下させる方向に向かうという点です。
たとえば、350万円がボーダーラインだとして、350万円を超えると税金の還付が受けられず、それ以下であれば還付を受けることができるのであれば、350万円にギリギリ届かない程度の収入に調整しようとする動きが必ず出てくるはずです。
この話は男性の方々はあまりピンと来ないかも知れませんが、働く女性、とくにパート・アルバイトで働いている女性にとってはとても身近な話だろうと思います。
私が以前管理職として働いていた職場は女性がとても多い職場でしたが、やはり結婚している女性もおり、そうした人から「年収が103万円を超えそうなので、なんとか調整してほしい」という相談を受けたことがありました。
当時の私は不勉強で、一瞬何のことか分からず当惑しまたしが、彼女から夫の扶養でいるためには103万円の制限があるのだと聞かされて、やっと相談の主旨を理解したものでした。
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■年収103万円とは
年収103万円とは、所得税がかかる基準です。
給与収入の場合、給与所得控除というものがあります。
これは、最低65万円を年間の給与収入から控除することが
できるというものです。
さらに、税金は、だれでも基礎控除38万円といものがあります。
つまり、65万円と38万円の合計額103万円までは、
自分自身に税金がかからないと言うことになるのです。
さらに、103万円という金額は、
配偶者(一般的には夫)が配偶者控除(38万円)を受けることのできる税金上の金額の範囲でもあるのです。
俗に、103万円の壁などと呼ばれます。
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この主婦の例は彼女が特別計算高いとか特殊な例だとか、そういうことではないはずです。
恐らく同様の調整を行った、あるいは行なおうとしたことがある人はかなり多いのではないでしょうか。
このように私たち庶民には、なんとか税金を安く抑えたいという本能があります。
もちろん違法な脱法行為は許されるべきではありませんが、制度の範疇の中でできるだけ自分の収入・資産を守りたいという心理は決して恥ずべきことでもないと私は思います。
では、ここまでの話を前提として、菅直人首相の還付発言を考えてみると、どういう事態が引き起こされるか想像がつきますね。
本来であれば、人は努力して収入を増やそうと一生懸命働くのだと思いますが、むしろ頑張らずにそこそこの労働しかしない方が報われる。一生懸命働いた人間が還付を受けることができずに、働き者が馬鹿をみる世の中であれば、あまり働かない方が得だな。となってしまうはずです。
こうして、菅直人の掲げる「最小不幸社会」の実現に一歩近づくわけです。
国民の幸福を願わない総理大臣の目指す社会とはなんとも貧乏臭い社会です。
こうした考え方を持っている以上、民主党とは「不幸実現党」だと言えるでしょう。
日本国憲法には、「幸福を追求する権利」は明記されていますが、たとえ最小であっても「不幸を目指す権利」はどこにも書かれていないはずです。
国民の幸福を願わない人間に一国の宰相を務める権利などない。
一刻も早くレッドカードを突きつけ、政治権力からの退場を促さなければならない。